Philosophy

唐長の思想

唐紙とその文様には神々や自然に対する人々の祈りを宿しながら、心へと静かに働きかける「気配」があると考えています。 唐紙に潜む日本の祈りと美を世界へと開いていくことは、人々の暮らしや人生の豊かさにつながると信じています。

伝統とは常に「今」。
唯一400年続く唐長の唐紙には、唐紙を愛した人々との数百年にわたる歴史があり、比類なき時間の価値が「唐長」という暖簾に宿り、守られ続けていると感じます。
継承には受け継いできた人々の繋がりやさまざまな物語があり、板木を守り伝えた先祖や唐紙を愛した人々に感謝し、これからも唐紙文化と精神性を世界と次世代に伝えていきたいと思います。

唐紙を通じて世界が平和でありますように
人々の心がおだやかで幸せでありますように

文様への思い

「文様」には、祈りの風景があります。表層的な「デザイン」ではありません。そこには、人々の祈りや願いが込められ、神さまが潜んでいます。
◎出典:トトアキヒコ「日本の文様ものがたり」(講談社2015年/はじめ書き)

“文様には呪能が宿る”
呪能とは、人々が文様の成り立ちに込めた原初のはたらきのことで、それは数千年の時を経た今もなお文様に宿ります。文様にひそむ呪術的な力と、板木を守り伝えた先祖や唐紙を愛した人々の魂の力。それらの力を宿した唐紙には幾千の物語が潜んでいます。その物語が今を生きる人々の暮らしとともに生きていくために、私たちは唐紙に祈りの影を光として写し取ります。

文様には、そもそも人を守る力があり、それぞれには意味や物語、紐解くと神々や人間の祈りが宿ります。魔除け、厄除け、浄化、守護、長寿、息災、健康、成長や繁栄、希望、多福、開運、家運上昇に商売繁盛、家内安全、子孫繁栄、夫婦円満、縁結びなど多彩な力が文様に秘められています。人が幸せになりたい、より良い人生にしたいとの思いは人類共通の願いであり、文様は時代を超え、世界を駆け巡り、古今東西の人々の願いを宿してきました。
トトアキヒコは、文様に潜む原初のはたらきとして呪能の存在を発見し、文様に宿る意味と物語を体系化することで、唐紙の世界に哲学を取り入れました。

地球にやさしいサステナブルな唐紙

唐長では「唐紙は森であり、自然そのもの」と考えています。板木も和紙も、本来は木。絵の具は地中の鉱物や貝殻を砕いたものなどを用います。和紙を漉くこと、絵の具を調合すること、板木から写しとること、それらすべてを繋ぐのは水の力です。それぞれの自然がカタチを変えて存在しているモノが唐紙です。
数百年以上の歴史を持つ唐紙は、自然素材がスガタを変えて結晶化した、今も昔も地球にやさしいエコロジーな存在であり、持続可能/サステナブルな文化 継承です。また、神秘的かつ美しい光を放つ雲母の輝きを、私たちは「とこしえの輝き」と呼びます。
宇宙から見たとき、青い地球に煌めく雲母の神秘的な輝きは格別ではないでしょうか。

著書のご紹介

文様の意味や物語について、より詳細な内容が書籍化されております。
板木や唐紙の陰影美、風景写真、エッセイなどさまざまな美術資料とともに文様の世界を感じられる内容です。ぜひ手にとってお楽しみください。

日本の文様ものがたり

京都「唐長」の唐紙で知る

唐紙師トトアキヒコ著(講談社刊)

人生を彩る文様

京都「雲母唐長」の唐紙とインテリア

トトアキヒコ 千田愛子著(講談社刊)

文様レターブック

雲母唐長

トトアキヒコ 千田愛子著(青幻舎刊)

京都の時間

暮らしを彩る愉しみ

千田愛子著(講談社刊)