唐紙師。従来の唐長の唐紙を継承した襖や建具、壁紙、唐紙を用いたパネルやランプなど、現代の暮らしに合うさまざまな唐紙を制作している。唐紙をアートにした第一人者であり、唐紙の芸術性を追求し、点描とたらし込みを融合させ自らの指で染めていくトトアキヒコ独自の技法「しふく(Shifuku)刷り」や「風祈」から生まれる深淵な青い唐紙作品は、八百万の神様や精霊とともに手がけた詩情が宿るスピリチュアルな《トトブルー》と愛され、その聖なる青は、別格の青い世界と物語を生み出している。

2010年、MIHO MUSEUMに作品「inochi」が収蔵・展示されると、史上初のミュージアムピースとなった唐紙として話題を集め、2014年には、東京国際フォーラム・相田みつを美術館で唐紙の歴史上初めてとなる唐紙アートの美術展を開催。2020年には、世界平和への祈りをテーマにした22メートルに及ぶ史上最大の唐紙アート作品を手がける。名刹養源院に奉納されたアート作品「星に願いを」は、俵屋宗達の重要文化財「唐獅子図」と並んでいる。同寺にある俵屋宗達の重要文化財「松図」の唐紙修復も手がけ、三十三間堂本坊 妙法院門跡、名勝・無鄰菴、護王神社などにも唐紙を納めるなど、京都だけにとどまらず全国の神社仏閣から唐紙を依頼され、平安時代より続く唐紙の伝統を継承しつつ、現代アートなる唐紙の世界を築き、前人未到の道を切り拓いている。

2015年9月、言霊と撮りおろした写真をまとめ、初エッセイ「日本の文様ものがたり(」講談社)を刊行。 2018年7月、百年後の京都に宝(心)を遺す文化プロジェクトを提唱し、「平成の百文様プロジェクト」(現在は「平成令和の百文様プロジェクト」)を主宰。江戸時代より先祖代々受け継いできた600枚を超える板木に加える新たな100枚として、唐長の新しい歴史を担う。2020年4月、新たに書き下ろした文様ものがたりのエッセイと唐紙の過去と今と未来を伝える雲母唐長のブランドストーリーブック「人生を彩る文様」(講談社)、同年7月には、「雲母唐長 文様レターブック」(青幻舎)を千田愛子と共に刊行。

2008年春芸術活動として、東京ミッドタウン「とらやギャラリー」にて「唐紙の美 唐長展」をプロデュース。
2009年夏夫婦合作の唐紙「inochi」は、唐紙がアートとしてはじめて美術館に収蔵される(MIHO MUSEUM)。
2010年夏MIHO MUSEUM創立者生誕100年記念特別展「MIHO GRANDAMA Arte della Luce」(ミホ グランダーマ アルテ・デラ・ルーチェ)にて作品「inochi」が披露される。
2010年7月文遊展開催。唐紙と書のコラボ作品展を書家宇敬氏と発表。
2010年秋養源院に祈りの唐紙作品「星に願いを」奉納。俵屋宗達の重要文化財「唐獅子図」と並んでいるこの作品は、唐紙がアート作品として寺社仏閣におさまったはじめての作品となる。
2010—2011年2年かけて同寺にある俵屋宗達の重要文化財「松図」の唐紙修復も手がける。
2010年末—2011年1月JR京都駅のギャラリーにて夫婦和合の精神を表現した唐紙による展覧会を開催。
2011年春京都御所西にある護王神社祈願殿内に夫婦合作の唐紙「イノチノヒカリ」を奉納。
2011年秋臨済宗妙心寺派の烹金寺の350年ぶりとなる落慶法要の唐紙を手がける。
2011年冬マンションのエントランスロビーに4メートルをこえる唐紙を用いたガラス作品「命」を納める。
2012年春フランスルーブル美術館のガラスピラミッドでも知られる世界的な建築家I・M・ペイ氏の建造物のエントランスロビーに夫婦合作の唐紙「いのち」を奉納。
2012年5月世界一の観光タワーである東京スカイツリーにて、江戸一目図屏風復元唐紙を手がけ、天望デッキに展示される。
2012年冬11月には京都で12月には東京銀座で画家AKI氏と唐紙と絵画のコラボ作品を発表。
2012年12月フランスで開催された『レ・サパン・ドゥ・ノエル・デ・クレアトゥール(Les Sapins de Noël des Créateurs)』に唐紙のクリスマスオーナメントを作成し、夫婦で出展。日本会場でも、クリスチャンディオール、ジャンポール・ゴルティエ、ルイヴィトンなどと共に展示される。
2013年春慈照寺(銀閣寺)に、唐紙三曲屏風作品「星に願いを」「季風の道」奉納。
2013年春真宗仏光寺大善院にて、唐紙四曲屏風作品「涅槃図」を画家AKI氏と共にコラボ作品として発表。発表後、京都ホテルオークラのロビーにて期間限定で一般公開される。また、コラボ作品「二孔雀」は、真宗仏光寺大善院に奉納。
2013年9月相田みつをと共著にて初出版「相田みつを&雲母唐長 幸運を贈るポストカードBOOK しあわせ」。
2013年10月東京銀座の商業施設コムサステージ銀座店に地下から2階へと続く唐紙づくしの階段には24枚のパネル、館内のエレベーターの壁面など唐紙を納める。2階には7メートルをこえる8曲屏風作品「星に願いを(蒼天の月)」「季風の道」を納める。
2014年2月「無心のすすめ」(著者:永井宗直)の装丁。作品「星に願いを」が装画となり、美しい本となる。
2014年4月医療法人仁愛会 川村産婦人科のLDRに唐紙作品を納める。命の誕生の場にある初めての唐紙となる。
2014年9月『唐紙の美 トトアキヒコの世界 雲母の旋律 - 400年のひととき -』が、相田みつを美術館にて開催される。長く続いてきた唐紙の歴史において、唐紙がアートとして美術展が開催されるのは、歴史はじまって以来初めてのことであり、美術館で唐紙師がアートとして美術展を披露するのも、初めてのこと。唐紙師として、前人未到の道を切り拓いた。
2014年12月京都・宇治にある平等院の茶房「藤花」に唐紙アート作品「季風の道」を納める。
2015年1月スリープクリニック銀座に唐紙アート作品「ミズハ」を納める。
2015年3月福岡県アシストレジデンス桜離宮のアートワーク及び養生カフェことほぎに唐紙アート作品を納める。
2015年5月美しいもの 白州正子エッセイ集(美術)(著者:白州正子) 角川ソフィア文庫の装丁唐紙を手がける。
2015年6月かそけきもの 白州正子エッセイ集(祈り)(著者:白州正子) 角川ソフィア文庫の装丁唐紙を手がける。
2015年9月「日本の文様ものがたり」(講談社) 唐紙師トトアキヒコの初エッセイを刊行する。
2016年10月リーガロイヤルホテル京都の最上階にある「フレンチダイニング トップ オブ キョウト」に移ろいゆく四季のゆらぎを描いた作品「光の輪」を納める。 史上最長となる唐紙アート作品は、34メートルに及び360度回転する展望レストラン内にアーチ状に手がけた四季の唐紙が客席の回転とともに変化する。
2016年10月三十三間堂本坊 妙法院門跡 唐紙奉納。
2016年11月プレミスト京都 烏丸御池のエントランスホールに唐紙アート作品「ミズハ」を納める。
2017年3月MIHO MUSEUM 2017年春季特別展:和ガラスの美を求めて -瓶泥舎コレクション- 美術館ショーウインドー内に37メートルに及び唐紙を納め、珠玉の美術品と唐紙のコラボレーションを手がける。
2017年5月ブランズ京都御所西のエントランスホール天井に唐紙、壁面に唐紙アート作品「星に願いを」「いのち」を納める。
2017年10月浄土真宗本願寺派 栢原山龍仙寺にて本堂内陣、余間、廊下など各所唐紙を手がける。 また、5メートルをこえる唐紙アート作品「星に願いを」奉納。
2018年3月名勝 無鄰菴 唐紙奉納
2018年4月無鄰菴唐紙奉納により、文化財の保存、維持の功績が認められ、門川大作京都市長より表彰を受ける。 門川大作OFFICIAL
2018年7月京都市後援のもと、百年後の京都に宝(心)を遺す文化プロジェクトを提唱。 「平成の百文様プロジェクト」を主宰者として立ち上げる。
2018年12月特装版「晴れの日本料理 青草窠のひと刻 The Seasonal Beauty of Japanese Cuisine」(著者:永坂早苗/写真:上田義彦)
装丁を岩野市兵衛(重要文化財越前奉書)の和紙を用い、手摺の唐紙(梅の丸/雲母染め地に白雲母摺)にて特装版とした。
2019年1月フランスのメゾン・ラデュレとコラボレーションし、世界で6点限定のラグジュアリーなトレジャーボックスを発表。その最初の1点となる唐紙のトレジャーボックスは、本国パリの本店ラデュレ・ロワイヤル店にて特別にディスプレイされる。
2019年11月リーガロイヤルホテル京都にて客室リノベーションを雲母唐長監修により手がける。特別ルームは「金雲」「銀月」と名付けられた。
2019年12月日本キリスト教団 室町教会の礼拝堂前天井に唐紙奉献
2020年2月作品「Universal Symphony」 (神慈秀明会正殿/2020年)が完成。令和元年初日より手がけた世界平和への祈りをテーマにした作品は、24面で1枚の作品となり、その大きさは22メートルに及ぶ唐紙史上最大のアート作品となりました。作品中心部の青い珠は、22690人と共に手がけた美しい祈りの結晶が輝く。
2020年4月「人生を彩る文様」(講談社)刊行
2020年7月「雲母唐長文様レターブック」(青幻舎)刊行
2020年11月グラミー賞受賞者である世界的サックス奏者ポール・ウィンターの新作「Light of the Sun」のCDジャケットデザインとして、唐紙アート作品「Universal Symphony」が採用される。
2021年8月ベラジオ雅び 京都西院のエントランスホールに唐紙アート作品「松に鶴」を納めるとともに、ファサード壁面にオリジナル文様ガラスを制作監修し、設営する。
2022年3月篠笛奏者である佐藤和哉の新作「○ en」のCDジャケットデザインとして、唐紙アート作品「ミズハ(瑠璃色よりいずる)」が採用される。
2022年5月日本三大修験の聖地である英彦山「守静坊」蘇生プロジェクトに賛同し、唐紙を寄進する。
2022年7月ベラジオ雅び 四条通IIのエントランスホールのアートワークを手がける。唐紙アート作品「ミズハ」を納めるとともに、壁面にはオリジナル文様タイルや文様ガラスによる光壁、坪庭などの制作監修を行う。
2023年3月MIHO MUSEUM 春季特別展「美の祈り Universal Symphony」
唐紙アート作品「Universal Symphony」が展示される。

唐長13代目(現当主)
千田愛子

1624年(寛永元年)より日本唯一続く唐紙屋『唐長』創業家に生まれる。京都・嵯峨にて継承し、次世代を担う。唐紙師である夫トトアキヒコと共に、文様と色を通じて、人々の暮らしに豊かな心と幸せを感じる衣食住の美しい空間を優れた色感覚で提案している。11代目より唐長のDNA としての色彩感覚を一番受け継いでいると認められた感性を活かし、幼少期より培われたその類希なる色彩感覚により、唐長の新境地として、従来の壁紙、襖紙の世界から新たにカードの世界を開拓。10代の頃から発表し続けている千田愛子の唐紙カードの世界は、独特の色彩感覚によって、老若男女問わず幅広い世代にファンが多い。伝統工芸とよばれた唐紙の世界に新しい切り口を開いたことが、その後の唐長の世界観にも、日本の伝統工芸にも大きな影響を与えた。

豊かな感性を活かし、「KIRA KARACHOのある暮らし」をテーマに、先祖から代々大切に受け継がれてきた唐長文様を和紙以外の素材へも表現し、衣・食・住などの他者とのコラボレーションも積極的に行っている。2004年開業のCOCON KARASUMA(古今烏丸)ビルのファサードには、唐長文様の天平大雲が使われており、京都のランドマークとなっている。

2015 年9月、初エッセイ「京都の時間」(講談社)を刊行。 2020年4月には「人生を彩る文様」(講談社)を共著にて刊行する他、2020年7月には、千田愛子の個性豊かな優れた色感覚により配色を選び、美しい文様と組み合わせた「雲母唐長文様レターブック」(青幻舎)を刊行。

2022年、家業「唐長」を十一代目千田堅吉より継承し、唐長十三代目に就任。


唐長当代千田愛子の父、唐長十一代目千田堅吉の経歴