唐長の新しいロゴについて

この度、私たち夫妻が唐長当代となり13 代目を継承し、責務を担うにあたり、唐長の新しいロゴを創出しました。
新しいロゴは、平成令和の百文様の一つである「雲孫令和」文様をベースに生み出したものとなります。雲孫令和は、唐長が代々大切に継承してきた唐長文様「天平大雲」を再解釈、再構築した文様です。先祖代々文字通り、命懸けで伝えてきた天平大雲文様は、今や唐長を代表する文様として認識されるようになりました。この大切な文様を継承する身として400年続いてきたことへの感謝とリスペクトを込めて、新たな文様を後世へと伝えられればと願いました。 

実りと豊穣を表す吉祥の雲を丸紋へと変化させ、丸く円満な世界となることの意味を込め、二つの雲が一つのカタチを生み出す陰陽の様は、影となり日向となり支え合う夫婦円満も表しています。雲孫(つるのこ)とは八代先の子孫のこと。八つの影日向の雲は、八代後に思いを馳せ、唐紙を通じて人々のしあわせと世界平和を祈りこの文様を生み出しました。 そして、この雲孫令和文様をベースにデザイナーの横川知宏さんと共に、さらに発展させて考えたものが新しいロゴとなります。日本で唯一続いてきたこと、そしてこれから先も続くことを思い循環し続いていくこと、私たち夫婦が次世代へとバトンを繋ぐ意志を新しいロゴに表現することを願いましたが、おかげさまで和洋を超えて飛翔する素晴らしいデザインが現れました。 

中央部には密やかに十字が潜んでいます。十字は交わりを表します。人と人、過去と現在、東と西、天と地…など、何かと何かが交わることにより未来に生きる新しい価値はいつも生まれます。私たちの思いをのせて、未来に向かい新たな価値を創出するという志と思いが見事に表現された美しいロゴが生まれました。

AuthenticとTradition
伝統と歴史を大切に、手仕事の風合いと質感を伝えること、進化する伝統をもって未来をつくること。
気配のある美として、人々のしあわせを祈り、唐紙をつくっているところが世界に一件だけここにある。
そういう矜持を抱き、これからの唐長を担い、次世代へとバトンを渡していけるように日々、唐紙と向き合いたいと思います。

唐長 トトアキヒコ/千田愛子

唐長十三代目千田愛子 就任のご挨拶

このたび、父、十一代目千田堅吉より唐長十三代を継承することとなりましたのでここに謹んでご報告申し上げます。

令和四年九月
唐長・雲母唐長 十三代目 千田愛子