昇り龍

昇り龍

昇り龍をテーマにした作品。
龍神信仰のある方がこの作品を前に日々、祈りを捧げていただいている尊い姿が目に浮かびます。
心象風景としてたらし込みを用いて下から上へと上昇するイメージを描いたこの作品には龍神さんが顕れました。たらし込みは、100%コントロールできるものではなく、意識と無意識の間から生まれる産物でもあるゆえ、そこに醍醐味と面白みを感じます。毎回毎回が1度きりの見極めが問われるのです。今ある景色に手を加え制作を進めると言うことは、二度と戻れぬ景色に足を踏み入れることでもあります。やっぱりやめたとはならないですし、元ある場には戻れません。目の前の一期一会の瞬間をどう捉えるかで、その作品が持つ方向性も表情も風合いも大きく変化してゆきます。
だからこそ、ぼくの唐紙は、そこに人智を超えた神さまが宿るのだと考えています。
さりげないことだけど、今回の作品には初めての試みがあります。おそらく、歴代、誰もそのようなことをしてなかったであろうことに挑戦しています。モノゴトの革新を引き起こす変化というものは、誰の目にも一目見て顕著にわかる変化もありますが、一方では言わなければわかならいような微細な変化がもたらす革新というものもあるのです。

2022年4月
唐紙師トトアキヒコ

個人蔵

唐紙師 トトアキヒコ

唐長の文化を継承する唐紙師。従来の唐長の唐紙を継承した襖や建具、壁紙、唐紙を用いたパネルやランプなど、現代の暮らしに合うさまざまな唐紙を制作している。唐紙をアートにした第一人者であり、唐紙の芸術性を追求し、点描とたらし込みを融合させ自らの指で染めていくトトアキヒコ独自の技法「しふく(Shifuku)刷り」や「風祈」から生まれる深淵な青い唐紙作品は、八百万の神様や精霊とともに手がけた詩情が宿るスピリチュアルな<トトブルー>と愛され、公共、商業施設、個人邸に納め続けている。

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雲母唐長(KIRA KARACHO)唐紙師・トトアキヒコ