ミズハ(瑠璃色よりいずる)

ミズハ(瑠璃色よりいずる)

「ミズハ」とは、水のカミさまと共に在ることを願い生まれた作品。波紋のエネルギーをスパークさせる中、唐紙は八百万の神々と共に手がけるというトトアキヒコの思想に基づいたもので、ぼくが生涯手がけ続けるライフワークの一つです。世界平和を願い手がけた深淵なる青い世界観に、想念を宿しています。瑠璃色よりいずる幸せの波紋(波動)が、佐藤和哉の風の音にのり、いろいろな人たちの心に届くことを願いました。

初めて彼の奏でる音を感じたとき、篠笛とは、自然の風景と共に在ると感じました。
そして、笛は耳で聞くのではないと知りました。
風が音になるんだ…
このことにぼくはとても感動しました。
そして、ぼくが求める唐紙の美の道と相通じる感覚を彼とは共有できるのではと思い、交友が始まりました。

小倉山
月夜に集う
心あり
風の音色に
鹿来たる
(トトアキヒコ)
笛の音も
鹿も月夜に
去りぬれど
心澄むから
かみに集わむ
(佐藤和哉)
十三夜
雲の彼方に
朧げと
はずれの夜に
風がたつ
(トトアキヒコ)
名月や
いづも集える
神無月
かぜまかせとて
えんにみちびく
(佐藤和哉)

時には、互いに我流だけど歌をおくり合うこともありました。

 

ある日の風景。
それはコロナ禍の始まりの頃…
誰もいない朝の嵐山、大堰川上流で広い空の下、人知れず笛吹く彼と二人で過ごした時のことを良く覚えています。
新緑と鳥の囀が心地よく…風と共に音色が空に舞い上がる様は美しい風景でした。
ソーシャルディスタンスに外出自粛や規制が謳われるようになり、以前のようにコンサートや演奏会などが開催できなくなりつつある世の中の変革の際、目の前に沢山咲いている幸せを見出して笛の音と共に伝えたい、と川の流れに解き放つように彼は呟いていました。

そんな彼が新しいアルバムを手がけることになり、そのジャケットデザインの為、アートワークとして作品をお願いしたいとの相談がきました。
瑠璃色をテーマにした何かを思い描いた際、青い人といえばトトさんだろうと思った、と。大好きなトトさんの青、自分が共鳴するアートをコンセプトとして取り入れてジャケットのデザインとしたいとのことでした。風が音になる彼の音楽に思いを馳せて深淵なる青い世界を生み出す試みの始まりでした。全てを青い光にしようと思い、さまざまな色調の青を調合し、ひたすらに青に青の世界を重ねてゆきました。白に見える色も単なる白ではなく、白い青、共色を重ねてゆく工程は、色が色にどんどん同化してゆくので一見、とても地味に見えますが、静かなエネルギーを内包する青い世界を目指しました。
彼が篠笛の音色に込めた思いが良き波紋となり、世界中へと広がりゆく様を祈り唐紙と向き合い続けました。

静かだけど、強い…

ぼくが目指す美は、強くて強いものではなく、静かで強いもの。
これは作品や唐紙に向き合う時にいつも思い描く大切なことでもあります。
作品の中心には瑠璃色を象徴する青い珠を描きました。この珠は、アルバムに収録されている瑠璃色ノ光という曲を聞きながら染めたものであり、佐藤和哉の音と混じり合ったこの世に唯一の青い光です。

生まれた作品を初めて見たときに彼からメールがきました。
「目に映った瞬間に、脳内に涼やかな風が吹き抜け、心の穢れを拭うような光を感じました。光にも地球にも魂の流転のようにも見えてきます。」

この作品「ミズハ(瑠璃色よりいずる)」を心に宿し、目を閉じて彼のニューアルバム「○ en」聴き始めれば、あなたの魂は壮大な《生々流転の旅》を感じるのではなかろうか。

2022年3月
唐紙師トトアキヒコ

 

2022年3月26日リリース
佐藤和哉のアルバム「〇 en」の購入はこちら

唐紙師 トトアキヒコ

唐長の文化を継承する唐紙師。従来の唐長の唐紙を継承した襖や建具、壁紙、唐紙を用いたパネルやランプなど、現代の暮らしに合うさまざまな唐紙を制作している。唐紙をアートにした第一人者であり、唐紙の芸術性を追求し、点描とたらし込みを融合させ自らの指で染めていくトトアキヒコ独自の技法「しふく(Shifuku)刷り」や「風祈」から生まれる深淵な青い唐紙作品は、八百万の神様や精霊とともに手がけた詩情が宿るスピリチュアルな<トトブルー>と愛され、公共、商業施設、個人邸に納め続けている。

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雲母唐長(KIRA KARACHO)唐紙師・トトアキヒコ