星に願いを

星に願いを

作品にクロスを表したのは四年ぶりのことです。
ぼくにとってのクロスは、交わりを現します。
天と地、過去と現在、人と人…
交わりは、さまざまな価値の創造をもたらしつつ、祈りの象徴でもあります。
風景でありつつ、祭壇とも感じる場へと転換する作品。
ある個人的な私的な空間のために生まれたこの唐紙がその方のための、この世界にただ一つの神聖な場所となることを願いました。

クロスは、二次元の広がりだけではなく、三次元とも四次元とも捉えられるような宇宙を想起し、左右の空間を手前に感じるようにと思いつつ…光がクロスから溢れ出て、見る者の心に降り注ぐことを願いました。あちら側とこちら側を繋ぐクロスとも言えます。
この作品には、他に写し取ろうとした幾つかの文様がありましたが、写し取ることなく仕上げました。結果的に、カタチとして現れてはいないが、無い訳でもなく、画面には思考の余韻が宿り、精神のゆらぎが顕れている。さまざまなモノを削ぎ落とすほどに、モノ自体が内包する空気感や風合いが問われてくる。

気配のある唐紙は、ぼくが目指す究極の美のカタチ。
この作品と向き合うことにより、あらためて誰も見たことのない道を極めたいと強く感じた。

2021年秋
唐紙師トトアキヒコ

個人所蔵

唐紙師 トトアキヒコ

唐長の文化を継承する唐紙師。従来の唐長の唐紙を継承した襖や建具、壁紙、唐紙を用いたパネルやランプなど、現代の暮らしに合うさまざまな唐紙を制作している。唐紙をアートにした第一人者であり、唐紙の芸術性を追求し、点描とたらし込みを融合させ自らの指で染めていくトトアキヒコ独自の技法「しふく(Shifuku)刷り」や「風祈」から生まれる深淵な青い唐紙作品は、八百万の神様や精霊とともに手がけた詩情が宿るスピリチュアルな<トトブルー>と愛され、公共、商業施設、個人邸に納め続けている。

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雲母唐長(KIRA KARACHO)唐紙師・トトアキヒコ